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健診は自分の体の状態を知るまたとないチャンス [健康]

私がナースになってこれまで一環して自分の考えが変わっていないことがあります。それは「健康診断の重要性」です。

人は元気なときには健康を心配したりしません。だから元気でいるときに健康診断を受けておけば「あのときに~」とツライ思いをしなくてすみます。

糖尿病も高血圧症も動脈硬化も、自覚症状がないまま進みます。とくに動脈硬化は、血糖値や血圧が「少し高め」なだけで、すごいスピードで進んでいきます。それを食い止めて脳卒中や寝たきりを予防するためにいちばん大事なことは、患者さん本人がある程度正しい知識を身につけることであろうと思います。

ここで言う正しい知識とは、健康の一般論ではありません。「いま自分の体がどうなっているか。そして、この体はどうなっていくのか」大切なのは自分です。人さまの一般論ではありません。自分を知るいちばん身近なものが、次の3つです。
  • 血圧
  • 体重
  • 食事の質とカロリー
これらは自分でも把握できます。しかし、血糖値やヘモグロビンA1C、コレステロール値は医療機関でないと計れませんし、医療機関に行っても、明らかに病気でないと受け付けてもらえません。

それらを測定できる年に1 度のビッグチャンス、それが健診です。

高血圧症患者を中心とする調査から得た10歳ごとに区切った年代別の血管の硬さの分布を見ると、20歳代、30歳代と歳を経るごとに平均値が高くなっています。

そして、若いときほどよい人と悪い人の差が小さく、歳をとるにしたがってよい人と悪い人の差が大きくなります。ついに90歳代になると、極端に血管の硬い人は外来に来なくなります。

つまり、亡くなったか倒れたかするわけです。ここで気づいていただきたいことは、たとえば次に示す人は、明らかに血管が硬いわけですが、この人は20 歳代、30歳代のときどうだったかというと、おそらくそのサインがあったはずです。

もちろん、こうした調査は、個人の経過を90年間追跡したものではありません。しかし、日本人のような塩分摂取量の多い民族は、おおむねこのように、加齢による血圧の上昇があり、それにともなう血管の硬化があるのだと思います世界のある調査では、食塩摂取量の多い集団では年齢とともに血圧が上昇する度合いが大きいことがわかっています。

だとすれば、「いま自分がどこにいて、どこに行こうとしているのか? 」これをきちんと自分で把握するために、健診はいちばん手軽にできる最良の方法なのです。ところが、全国的には健診の受診率は30 % 程度です。つまり、受けていない人が70 % もいるのです。健診を受けない人に聞いてみました。「なぜ健診を受けないのですか」さまざまな答えをいただきます。「どこも悪くないから」「血圧が少し高めなだけだから」「いつもコレステロール値だけ高めだけれど、ほかはなんともないので」「境界型糖尿病だけで、ほかはいつも何も指摘されないから」だから「自分は大丈夫」と、大きな勘違いをしているのです。

とある調査の、突然倒れて救急車に乗る大血管障害の患者さんの80% 近くは健診を受けていないという結果もあります。なぜ健診を受けないのでしょう。いちばん多いのは、「自分は大丈夫」と勘違いしている人。

次は、本当は必要性に気づいていたのだけれど、知らぬ顔をしている人。最後に、まったく興味がない、あるいは本当に忙しい人です。ご理解いただけたでしょうか。

倒れる人の80% は健診を受けていない人なのです。逆に、日ごろから体に関心を持っている人は、医療機関に行き、健診を受け、たとえ問題が多い人でもそのわりには倒れていないのです。脳梗塞は、たった1つのリスクでも倒れる人がいます。
1個のリスクで倒れた人の実に75 % は、「血圧が少し高いだけ」だったというショッキングな結果も出ています。少し高めとは、上の血圧が130~140 mHgの人。健診を受ける人の2人に1人は、当てはまるー数値です。

そしておそらくあなた自身も、当てはまるかもしれません。健診をすると、もう1つ利点があります。7年間連続で健診を受けた人の血圧の推移を見ると一目瞭然です。健診を受けたからといって、血圧が大きく下がるということはありませんでした。しかし、日本人が10年間でどのくらい血圧が上がるのか、つまり自然経過でどのくらい血圧が上がるかを推定すると、10年間に6mHgの上昇があると思われます。

だとすれば、7 年間で4.2mHgの上昇が見込まれます。この人たちは、有意差はないにしても、むしろ1 〜2 mHg程度の血圧の下降を認めており、少なくとも加齢による血圧上昇を抑えられたと考えられます。健診がスタートラインになって、生活や心的態度のいろいろなところで、体が健康レベルを上昇させる方向へと向かっていくのではないかと思います。

世の中は、さまざまなところで先入観に支配されています。「体が塩分を必要としている」「夏は汗をかくから塩分補給が必要」というのも、その1つ。汗で排出される塩分のデータを見ても、よっぽど急速に大量の汗をかかない限り、塩分の補給は必要ないのです。むしろ、高血圧症の予防には塩分制限が絶対に必要です。先入観に惑わされることなく、自分の体や、家族や子どもたちの体を守るためには正しい知識が必要です。そのいちばん身近な情報提供の場が、健診なのです。健診を通して、啓蒙の一般論からあなたの現実に即した個別の知識まで、実に詳しく工夫をもって情報が提供されます。世の中の健康のレベルを上げるための最初のステップは、みなさんが誘い合わせて健診を受けること。そして健康な人にとっては、どうすればこの健康を増進できるかを学べるいちばん身近なチャンスが健診なのです。

https://bp-control.net/
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