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アポクリン腺から乳腺へ [皮膚腺でつないだ命の連鎖]

このアポクリン腺分泌物の成分を見て、何か気づかないでしょうか。「新生児に必要な栄養素」とほぼ一致しているのです。
なぜならば、これを新生児に舐めさせれば、新生児は、必要とする栄養分を摂取できることになります。しかも、アポクリン腺は、晴乳類の全身にあまねく遍在している(皮膚と毛を守るための器官だから当然である)のです。

だから、1つ1つのアポクリン腺の分泌量は少なくても、新生児は母体のいろいろな部分の毛や皮膚を舐めることで、トータルとしては必要な量のタンパク質や脂肪酸を得られることになるのです。

さらにこの方式は、母体側にも2 つのメリットがあります。1つは、新生児を育てるための新たな器官を作る必要がなく、既存の器官を転用できること、もう1つは、アポクリン腺が全身に遍在しているため、子どもの成長に従って栄養要求量が増えた場合にも、個々のアポクリン腺の分泌量をちょっとずつ増やすだけで対応できることです。

もちろん、体から外に何かを分泌する腺は皮膚腺以外にもあるのですが、脂肪酸もタンパク質も糖質も含む液体を分泌しているのはアポクリン腺のみであり、子育てに使えるものとしてはこれ以外にはないのです。

このような育児方式を編み出したのが獣弓類だったと考えられています。そして、ほ乳類の乳腺は、この獣弓類のアポクリン腺から進化したことは、比較解剖学や生化学の研究からほぼ間違いないと考えられています。

つまり、全身にあるアポクリン腺のうち、授乳に適した部位(= 体の前面) のアポクリン腺を肥大・集中させることで、乳腺が分化したのでしょう。

獣弓類が独立した乳腺組織を持っていたという直接的な証拠はないが、獣弓類から分岐・進化したほ乳類 の歯牙の形状から、孵化直後の晴乳形類の新生児は、カゼイン(母乳のタンパク質の80% を占めるタンパク質で、極めて栄養価が高い) を飲んでいたことがほぼ確実とされていることが根拠です。
備忘録
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